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- Date:2024年11月22日
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朝日新聞は8月5日付朝刊で、これまでの慰安婦報道を検証する記事を掲載した。1面に杉浦信之編集担当の署名で、「私たちは元慰安婦の証言や少ない資料をもとに記事を書き続けました。そうして報じた記事の一部に、事実関係の誤りがあったことがわかりました」とする記事を載せ、誤報があったことを認めた。(大森貴弘)
朝日は昭和57年9月、戦時中に「山口県労務報国会下関支部動員部長だった」と名乗る吉田清治氏を取り上げ、計16回にわたって記事を掲載した。
吉田氏は自著で韓国・済州島で朝鮮人女性205人をトラックで強制連行した-などと「証言」した。この報道をきっかけに、平成5年に慰安婦の強制性を認めた河野洋平官房長官談話が作成された。
だが「証言」は後に虚偽だったことが判明する。
平成4年、済州島で現地調査を実施した現代史家の秦郁彦氏は裏付けがまったくとれず、証言を虚偽と断定し、吉田氏を「職業的詐話師」と指弾した。
今回の朝日の記事は、一連の慰安婦報道の中で、吉田氏の証言について、ようやく「誤りがあった」ことを認めた。
産経は、翌8月6日付朝刊の社説に当たる「主張」で、「『強制連行』の根幹くずれた これでは訂正になっていない」との見出しを掲げた。この中で、「慰安婦を強制連行した」という吉田証言を虚偽と認めたことで、強制性を認めた河野談話と、慰安婦が強制連行されたとの主張の根幹が崩れた-と指摘した。
その上で、検証自体は評価しつつも、「真偽が確認できない証言をこれまで訂正せず、虚偽の事実を独り歩きさせた罪は大きい」、「産経新聞がこれまで河野談話の虚構性や吉田証言が偽りであることなどをただしてきたのは、事実を重ね歴史認識を正しく伝えることが、長期的に日韓両国の信頼につながるからだ」、「事実を歪めては国際的な信頼は得られない」などと論じた。
九州各紙は…
朝日の検証記事を九州の地方紙はどう伝えたのか。
福岡市に本拠を置くブロック紙で九州最大の発行部数を誇る西日本は、8月6日付朝刊の第2社会面2番手で、共同通信の配信記事を使用し、「朝日新聞 慰安婦記事取り消し 一部証言『虚偽と判断』」との見出しを掲げた。
記事は、「朝日新聞は5日付の朝刊に、従軍慰安婦をめぐる同紙の過去の報道を検証する記事を掲載し『済州島(現・韓国)で強制連行した』とする日本人男性の証言を『虚偽だと判断し(関連の)記事を取り消す』とした」と掲載した。
旧日本軍に存在しなかった「従軍慰安婦」という用語を用いてはいるが、論評抜きで淡々と事実関係のみを報じている。
ほかの地方紙も「慰安婦記事一部取り消し 朝日新聞『虚偽と判断』」(6日付長崎、熊本日日)、「朝日新聞 慰安婦報道の証言『虚偽』 検証記事で一部取り消し」(6日付宮崎日日)と報じた。見出しは異なるが、いずれも共同通信の記事を掲載した。
朝日が6日付朝刊でも検証記事を掲載したことを受け、共同通信は「慰安婦連行、92年から疑問(証言7回報道)」との見出しで記事を配信した。
「朝日新聞が検証で『虚偽』と判断し記事を取り消した『韓国・済州島で強制連行した』との吉田氏の証言は、1992年ごろから識者らの間で信ぴょう性に疑問を呈する声が出ていた」とする内容だった。
ただ、共同通信は平成3年12月以降、吉田氏の証言を7回取り上げたが、4年8月の記事を最後に取り上げていないと説明。吉田氏は既に死亡し、現時点での確認は困難だとした。
この配信記事は、西日本、熊本日日、宮崎日日、長崎の各紙が掲載した。有力地方紙が共同通信の記事に依拠し、大きく影響を受けていることが分かる。ただ、一連の経緯を報じない社もあった。
西日本は配信記事に自社の見解も添え、「本紙、90年代に記事掲載」との見出しで、「1990年代初めに共同通信配信の記事を含め『訪韓して元慰安婦に謝罪』『国会の参考人招致見送り』などの記事を掲載しましたが、その後、吉田氏の証言に疑義が呈されたため、以降は吉田氏の証言に基づく報道はしていません」と説明した。
談話検証は批判
6月20日、政府は河野談話の作成過程を検証する有識者による検討チームの報告書を公表した。
報告書は、歴史の事実関係より、慰安婦の強制性を求める韓国側への政治的配慮を優先させ、日韓両国がすり合わせていた-とする産経新聞のこれまでの報道の正しさを裏付けた。
こうした検証について西日本は、「見直すより未来に生かせ」との社説(6月24日付)を掲載した。
社説は、「(日韓の)事前の文言調整はむしろ自然だ」、「裏付けを取るのは難しかっただろう」、「河野談話を見直そうとする日本国内の一部の動きが、国際社会で理解を得るのは難しいだろう」とした。
熊本日日も6月23日付社説で、「日韓の『悪循環』断ち切れ」との見出しをとり、「何のための検証だったのだろうか。(中略)わざわざ新たな難題を抱え込み、解決へのプロセスを複雑にした印象は否めない」と、検証自体を否定的に論じている。
だが、現実はずさんな調査を基に作成された河野談話が独り歩きし、国際社会で日本が貶められ、反日宣伝に利用されている。
米国内では、韓国系米国人らによる慰安婦像の設置が相次ぎ、米連邦下院では日本を批判する慰安婦決議が採択された。米国在住日本人の子どもらが慰安婦を理由に、イジメにあったという報告もある。
このほかにも、河野談話を基に慰安婦を強制連行された「性奴隷」と認定した国連のクマラスワミ報告など、河野談話がもたらした弊害は計り知れない。
間違いは間違いである。
日本政府が、河野談話がずさんな調査であったこと、強制連行を示す資料は存在しないことを国際社会に粘り強く事実をもって説明し、談話作成の検証作業への理解を求めていくべきだ-というのが産経新聞の考えだ。
河野談話の作成は、朝日新聞が虚偽であると認めた報道が、一つの大きなきっかけだった。だが、政府による談話検証を社説で大きく取り上げていたのに比べると、朝日の検証については、各紙とも扱いは淡々としたものだったといえる。
◇
地元に密着した地方紙はそれぞれの地域、都道府県で圧倒的シェアを誇り、影響力も大きい。こうした地方紙は、国のかたち、国家のありように関わる重要問題をどのように扱い、伝えているのか。九州の地方紙の報道を検証する。