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- Date:2024年11月22日
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“オレオレ詐欺の帝王”が詐欺の実態を語る理由「世間の誤解を解きたい」
振り込め詐欺などの「特殊詐欺」の被害が過去最悪のペースになっていることが、8月、警察庁のまとめで明らかになった。今年上半期(1~6月)で5682件、268億2950万円で、過去最悪だった昨年を上回るペース。
しかも、首謀格の摘発はわずか4%にとどまり、非常に深刻な状況だという。振り込め詐欺は、出し子が現金を引き出すときが最もリスクが高いため、最近では金融機関への「振り込み型」や「現金手渡し型」が減り、代わりに郵便やレターパック、宅配便で現金を送らせる「現金送付型」の被害が急増するなど、手口はより巧妙化している。
以前は「オレオレ詐欺」と呼ばれていた振り込め詐欺だが、この詐欺業界で4年前まで「オレオレ詐欺の帝王」と呼ばれていた人物がいた。“本藤彰”と名乗る38歳の男だ。本藤が作家・溝口敦氏に詐欺の実態を赤裸々に語った『詐欺の帝王』が発売直後から話題になっている。今回、その本藤なる人物に直接コンタクトをとり、インタビューを行った。
――本藤氏のこれまでの経歴について教えてください。
本藤:大学時代、イベントサークルをまとめ上げて、合同イベントを企画したりしていました。例えば50サークルを集めて、六本木の大箱を6時間120万円で借りる。その売値を200万円にして参加サークルに割り振って、自分で1回のイベントで80万円儲けるなんてこともやっていました。早稲田のスーフリのケツモチもしていましたね。
――大学卒業後は?
本藤:大学卒業後は広告代理店に勤めていましたが、スーフリ事件との関与を疑われて左遷されました。それで広告代理店は退社して、学生時代に蓄えていた資金で何か新しい仕事を始めようと思ったんです。
――新しい仕事とは?
本藤:トバシのケータイと匿名の銀行口座、多重債務者の名簿の“三種の神器”を片手に、ヤミ金を開業しました。最初は6人ぐらいのチームで月の売り上げが800万円くらいと苦戦していましたが、翌月からは大きく売り上げを伸ばし、ピーク時には1店での貸付残高が1億円。ヒラの店員にも月給50万円を支払ってもまだ利益が出ていました。
――本藤氏自身の給料は?
本藤:最終的には300店舗、従業員は1300人になりましたね。新人の「ヒラ店員」で月給40万円から、その上が「番頭」(店長補佐)で月給200万~300万円、「店長」は700万~800万円。その上が「統括」で月給1000万円、さらにその上が「総括」で月給5000万円が基本でした。その上となると「社長」で1億5000万~2億円、そして私の側近は月給2億~3億円、私は最低でも月給2億~3億円でしたね。
――ヤミ金をはじめ、本藤氏はこれまでどのような詐欺を行ってきたのですか?
本藤:オレオレ詐欺の草創期に荒稼ぎしただけでなく、ワンクリック詐欺、未公開株詐欺、社債詐欺、そしてイラク・ディナール詐欺と、さまざまな詐欺を行ってきました。
――なぜ今、詐欺の実態を語ろうと思ったのですか?
本藤:現役のころから取材依頼がありましたが、自己顕示欲を満たすために詐欺の手法や知識をひけらかすようなことはありませんでした。引退した今、溝口氏の取材を受けることにしたのは、一つに「特殊詐欺」に対する世間の誤解を解き、警鐘を鳴らしたかったという思いがあります。
――どのような誤解ですか?
本藤:昨今、振り込め詐欺が悪事をはたらく人たちの資金源になっているという面があるからです。私がやってきた「特殊詐欺」「システム詐欺」の発展が資金源になっているというのを危惧しています。
――今、どのような気持ちですか?
本藤:贖罪や罪滅ぼしという思いと、警鐘を鳴らしたいという思いがあります。私がかつて、「詐欺グループに入りたい」と言っていた若者たちを受け入れたのは、短期間でお金を貯めて「不動産をやる」とか「飲食店をやりたい」といった人たちの後押しをしたかったから。
しかし、詐欺はヘタに稼げてしまうので、いまだに足を洗っていない後輩が多く、カネ・バクチ・オンナに溺れてしまっている。私は、後輩たちを売ることもできないけど、守ってあげることもできない。詭弁に聞こえるかもしれませんが、汗水流して働いたお金は無駄遣いしない。こういう仕事は長くは続けられないから、早く引退して全うな生活をしてもらいたいですね。
「贖罪の気持ち」「罪滅ぼし」といった言葉を口にした本藤氏。彼が溝口氏の著書『詐欺の帝王』で語った自身の体験や詐欺の手口は、詐欺の世界のごく一部。それだけ私たちの身の回りには詐欺が蔓延し横行しているのかもしれない。
<取材・文/日刊SPA!取材班>