[PR]
- Category:
- Date:2024年11月22日
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
2013.08.23
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6531
2013年10月号記事
安倍晋三首相が迷っている。来年4月から消費税率を8%に上げるべきかどうか。増税したい財務省の言い分は、「国の借金は1000兆円を超えた。世界一の借金大国だ。増税しないと財政破綻してしまう」というもの。
日本国債はすべて円建て財政破綻はあり得ない
日本の国債残高の対国内総生産(GDP)比は約250%。事実上財政破綻したギリシャが約150%だから、財務省の主張も理屈が通っていそうだが、実際には、日本とギリシャの借金の中身はまったく違う。
そもそも財政破綻は、「外貨建て国債(外債)の返済不能」のことを言う。ギリシャの破綻はユーロ建てで外債の一種。2001年に財政破綻したアルゼンチンの場合も、ドル建て国債を返せなくなったものだった。
日本の国債はすべて円建て。「外債ではない」という一点で、日本の財政破綻はあり得ないことが分かる。
円建て国債の場合、日本銀行がお札を刷って国債を買い取ることができる。ギリシャやアルゼンチンは、ユーロやドルを勝手に刷ったら「犯罪」になるので、破綻せざるを得なかった。
結局、国債は自国通貨建てかどうかで、天と地の差がある。
勤勉に稼ぐ日本国民が支え
その差を別の言葉で言えば「国民がよく働くかどうか」だろう。
ギリシャ国民は、自国内で消費するモノを自前で十分供給できず、他国からたくさん買っている。国民があまり稼げないと、政府の税収は上がらないし、国民の貯蓄も少ない。赤字の政府が借金しようとしても、国内で資金調達できないから、海外の金融機関から借りるしかない。
日本国民は、天然資源などは別にして、大半のモノを自前で供給できる。加えて、製造業を中心に他国にも売ってお金を稼いでいる。それが1500兆円にのぼる個人金融資産として積み上がり、銀行や保険会社を通じて国債に投じられている。
財務省やマスコミは「国民1人当たり約800万円の借金!」と大騒ぎするが、「1人800万円も政府に貸しているすごい国民」という話にすぎない。
日本国民は政府だけでなく、海外にもお金を貸している。その金額は世界最大なので、日本は「世界一のお金持ちの国」だ。
勤勉に働き、稼ぎ続ける国民に支えられた日本の国債は、世界で最も破綻から遠い。
なぜ財務省は財政危機をあおる?
では、なぜ財務省はありもしない財政危機をあおるのか。
歴史を振り返れば、各国の財政当局は、深刻な不況下に緊縮財政や増税に突き進む過ちを繰り返してきた。
1929年の世界恐慌後、浜口雄幸内閣は緊縮財政と金融引き締めを採用し、マイナス成長の続く昭和恐慌に突入した。アメリカのフーバー大統領は株価大暴落後、銀行や企業の倒産を放置。落ち込んだ財政をまかなうため消費税導入を強行したが、1年後にGDPは半減し、1200万人の失業者を生んだ。
近年では橋本龍太郎首相がそうだ。バブル崩壊後の景気低迷の中、97年に消費税を増税。その後の15年間でGDPが50兆円以上落ち込み、平均世帯年収も100万円以上減った。
バブル崩壊後は家計も企業も金融機関も借金返済に必死になり、お金を使うことに慎重なケチケチ・ムードが世の中を覆う。その中で政府も同じように借金返済したくなったのだろう。しかし結果は、国民の仕事や所得がみるみる減る長期デフレ不況。
この「貧乏神思考」をEUや国際通貨基金(IMF)が2008年のリーマンショック以降、世界に広げている。
国債はもっと発行できる
恐慌を克服した高橋是清やルーズベルトならば、「借金1000兆円? それがどうした」と言うだろう。
1930年代の恐慌から日米を救ったのは、高橋是清蔵相とルーズベルト大統領だった。中央銀行に国債を買い取らせ、財政支出を一気に拡大して仕事を創出。縮小経済からのV字回復を果たした。ルーズベルトは第二次大戦の戦費も含め支出を何倍にも増やしたが、GDPは10数年で4倍になったので、戦後の借金返済の負担は小さかった。
なぜこんな無茶ができるのかというと、政府と、家計・企業・金融機関とでは、借金に堪えられる力がまるで違うからだ。先に触れたように、自国通貨建ての国債は、中央銀行が買い取ることができる。するとマスコミは「ハイパーインフレになる!」と騒ぐが、戦争などで生産設備が壊滅しないかぎり、お金の価値が暴落することはまずない。
政府の力は、いざとなったら異常に強い。だからこそ高橋是清は「1足す1が2、2足す2が4だと思いこんでいる秀才には、生きた財政は分からないものだよ」と、視野の狭い官僚たちを叱った。
日本の財政破綻はあり得ない。ルーズベルトが任期中にGDPを4倍増させたように、政府が成長分野に投資するなら、実はもっと大量に国債を発行できる。世界的な景気低迷を吹き飛ばせるし、自動車などに代わる21世紀の新たな基幹産業を創り出すこともできる。
「借金1000兆円? それがどうした」。そんな富の創造を全面肯定する「繁栄思考」が安倍首相には必要だ。
(綾織次郎)