便はすべてが臭いものとは限りません。日によって、または体調によって臭いや形状は異なるのです。
人の腸管内には、500~1,000種類、総数100兆個にも及ぶ細菌が共存しているといわれています。便の臭いは、食べたものの臭いがそのまま出るわけではなく、腸内にあるこれらの細菌が食べ物を分解することで、作られるのです。健康な便の臭いとは、わずかに酸っぱさを感じる程度。腸内に善玉菌である乳酸菌が多いとその臭いがします。健康な赤ちゃんの便の臭いが、まさにこの臭いです。
一方、健康でない便は、悪臭を放ちます。肉をたくさん食べた後や、腸内に悪玉菌が多い場合にタンパク質が細菌により腸内で分解されることで発生したインドールやスカトール、アンモニア、硫化水素などが臭いの元となります。また、便秘が続いている場合も、腸管内で食べ物の腐敗が進みますので、臭いのキツい、酸性腐敗便になることがあります。
水っぽく腐ったようなにおいの場合は、食中毒、赤痢、潰瘍性大腸炎……といった病気の可能性もありますので、内科か消化器内科の受診をお勧めします。
善玉菌である乳酸菌を、悪玉菌よりも優勢にすることです。そのためには、食物繊維や乳酸菌を多くとることが効果的です。乳酸菌は、ヨーグルトやみそ、醤油、納豆などの発酵食品に多く含まれており、和食中心の食生活を送ることで、自然と摂取することができます。
腸内の環境は免疫力と密接に関係しており、便の臭いや形状は、自分の健康状態を知るいいバロメーターになると言われています。
最近の研究から、腸内細菌のバランスの乱れが、自己免疫の病気、アレルギー、がん、肥満症などさまざまな病気の発症や病態に影響を及ぼしていることがわかってきました。
便が臭くなってきたら、しっかり休養を取り、食事内容を見直して生活習慣を整えるようにしましょう。