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東洋経済オンライン 2013/11/11 06:00 週刊東洋経済編集部
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20131111-00023701-toyo-nb
「TOEICで高得点を取っても、英語が話せない」──。東進ハイスクール講師、安河内哲也氏は、英語研修で企業を訪れるたびにビジネスパーソンからこんな悩みを相談される。「日本人はほかのことは優秀なのに、英語だけは世界最低レベルのまま」(安河内氏)。
日本企業にとって社員の英語力アップは喫緊の課題だ。英語の社内公用語化に踏み切った楽天やファーストリテイリングに続けと、社員の英語力強化に乗り出す企業は増え続けている。ソフトバンクは今年から、TOEICで900点以上を取得した社員に報奨金を支給する制度を開始。サントリー食品インターナショナルも若手の英語力アップを目的としたプロジェクトを始めた。
小学校低学年からの英語必修化が検討されたり、国家公務員の採用に英語能力試験TOEFLを課すと報じられるなど、国も日本人の英語力アップに本腰を入れ始めている。
■ 完璧主義がネック 話さなければ話せない
ビジネスパーソンにとって、今や英語力は、職探しにも昇進を目指すにも欠かせない条件となりつつある(左図)。ところが、がむしゃらにTOEIC対策だけ勉強したところで、いざ現場で使うとなると英語で話せない、書けない。
ネックになっているのは日本人の完璧主義だ。「会話力は間違った数に比例して伸びる。にもかかわらず、恥をかかずに本を読んで勉強しようとする。楽譜が読めてもショパンは弾けないように、話す練習をしなければ話せるようにはならない」(安河内氏)。
そもそも「仕事で英語を使うほうが、プライベートで使うよりはるかに簡単」と、『捨てる英語勉強法』などの著書がある英・仏語講師の井上大輔氏は話す。「互いにメリットのある関係だからこそ成立するビジネスの世界では、こちらが話す内容は相手に利益をもたすことがほとんど。一般的な商談レベルであれば、高度な英語力がなくても十分に通用することが多い」(井上氏)のだ。
ならば、今まで学校で学んできた基礎に少し上乗せし、7割程度の英語力を習得すれば十分だろう。あとは実践力をつければよい。
■ 7割英語、4つの条件
「7割英語」の条件は四つある。一つは、「中学+α」の文法力を身に付けること。日本の中学の英語教科書はレベルが高く、「中学で習った50~100の構文を使い回せば会話はできる」(安河内氏)。これに、ビジネスで使える表現を覚えれば、現場の会話などでも活用できる。
二つ目は語彙力。英語熱に伴って、世界では非ネイティブ間の英語「グロービッシュ」が台頭している。そこで使われている基本1500語に加えて、自分の仕事で使う専門用語を身に付ければビジネスでのやり取りは可能だ。
三つ目にTOEICでも600点超えを目標にする。ビジネスに必要な英語力を測定するTOEICはすでに多くの企業で義務化されているだけでなく、「テスト勉強が好きな日本人には向いている」(井上氏)。600点をクリアできる文法や語彙力が身に付けば、「そこから会話力はぐんと伸びる」(英会話イーオン東京本社法人部の箱田良勝氏)。
最後にライティング力の強化だ。仕事相手が世界中に広がるにつれ、eメールなどライティングでコミュニケーションを図る機会は増え続けている。それでも正しいメールの書き方や相手の心をつかむフレーズさえ覚えれば、ライティング力を磨くのは難しいことではない。
たかが英語で躊躇することはない。ある程度の文法と語彙力をマスターすれば、後は自分の仕事に自信を持って国際ビジネスに臨めばいい。コツをつかめば「7割英語」でも十分戦える。次ページからは実際に7割英語の修得者に「サバイバル術」を披露していただいた
■ 各社の7割君が語る私の英語サバイバル術
取材のセッティングや英語プレスリリース作成、電話会議。米電気自動車ベンチャー、テスラモーターズの広報、土肥亜都子さんの毎日は忙しい。米本社との業務連絡も多く、メールや電話など日々の業務の大半は英語で行う。
今でこそ米国の幹部とも英語でやり取りしている土肥さんだが、大学卒業後に勤めた出版社では英語とは無縁だった。転機が訪れたのは30歳。転職したマイクロソフトは日本人同士でさえ英語で会話をするような会社だったのだ。当初は聞くのもままならなかったが、わからないことがあればその都度、英語のできる同僚に聞いて回った。また、「みんなが盛り上がる話で使われていた『いい表現』を拾い、それをすぐ使って身に付けるようにした」。
ライティングも同様に、同僚から来たメールや過去の資料で効果的な表現があれば、それを積極的に使う。今もメールボックスには「承認用」「依頼用」といった目的別のフォルダを設けて、それぞれにお手本メールを保存している。また、社内で使う英語の会議資料などはまず自分で作成してから、関係者に回して必要に応じて添削してもらう。「自分で抱え込むのではなく、スピーディに仕事を回すには割り切って周りの手を借りることも必要」と話す。
マイクロソフトからグーグル、テスラと外資系企業での経験を重ねていくうちに、コミュニケーション術も進化した。会話やメールをする相手が頻繁に使う「お気に入り」の言葉や表現を覚えて使うなど、相手や目的を考慮して表現方法などを工夫。「大事なのは迅速に仕事が前に転がること。そのために相手が心地よく仕事をしてくれる言葉を選ぶことが大切」と話す。実際、相手に合わせた表現を選ぶことで信頼を得ているとの実感もある。
最近は「相手に飛び込んできてもらいやすくするために」独自の英語表現や小話も増やしている。間違うこともあるが、「どうせなら面白く間違う。仕事も英語も自分をよく見せようとするとろくなことはない。それより、相手がどうしたら心を開いてくれるかを考えないと」。
■ オンライン英会話では職場での話題を再現
半導体製造装置メーカー、ディスコでレーザー光を使った装置の開発に携わる田畑晋さんが英語を学び始めたのは約2年半前。仕事で米国に長期滞在する話が持ち上がったことがきっかけだった。
結局、滞在には至らなかったものの、現在の業務でも、メールのほか、海外顧客などに英語で装置の説明を行うことがある。顧客が訪れた際には通訳が同席するが、「装置を買うか買わないか迷っている顧客に、できるかぎり自分の言葉で伝えたい」。
たどたどしい英語でも自分で説明することで、顧客は田畑さんの顔を見て真剣に聞いてくれる。「正しい文法かどうかは大した問題ではない。開発意図や製品についてどう伝えれば効果的かを考えて話す」。
会話力アップのために2年前から続けているのが、オンライン英会話レッスンだ。週に4回、1日30分程度受講。職場で話題になっていることを話し、ビジネスで使える表現を覚える。数多くの講師との会話を重ねたことで「英語で会話することへの恐怖心がなくなった」。
社内で定期的に開催されるネイティブによるマンツーマンの英会話レッスンにも参加している。講師が元社員で田畑さんの業務内容にも精通しているため、レッスンでは装置の説明を顧客にするという設定で英語を学ぶ。資料を使ってプレゼンの練習をすることもある。
一方、「書く」「聞く」力を鍛えるのにはスマホアプリを活用。ライティング力アップには英語日記アプリを使って職場で日々起きたことを書きためている。リスニング練習には、往復3時間の通勤時に米ラジオ局ボイス・オブ・アメリカの最新ニュースが読める「i daily」を聴視。同アプリには記事を読み上げる機能が付いており、これを聞きながら記事を目で追う。スピードの調節もできるため、意味をくみ取ることができなかった記事はスピードを落として聞き返す。
田畑さんは、日々練習を続ければ、「日本で英語を身に付けるのは無理ではない」と実感している。
オリックスで、海外事業への投資を行う部門に配属されて1年半。田口紗和子さんは現在、主に中東の取引先と日々電話やメールでの連絡をしている。
繁忙期ともなるとメールの数は1日40~50件と膨大。回りくどい表現は避け、「何を伝え、何を聞きたいのか、単刀直入に目的を書く」といったことは、上司のメールを参考に覚えた。M&Aの契約実務に関するやり取りも多く、専門用語や表現は取引先のメールを参考にする。メールを送った現地社員から文章を修正されることもあるが、現場での実践が何よりの練習だ。
■ グーグルの検索機能を活用
メールを書くうえで重宝しているのが、グーグルの検索機能。動詞の使い方や表現に疑問があれば、そのまま検索を実行し、実際に使われているかどうか確認している。
一方、電話会議では自分の言いたいことをメモしておき、発言するようにしている。専門的な内容で難しい会議の場合、録音して通勤時に聞き返し、不明だった箇所は次の会議までに把握するようにしておく。
学生時代から英語を勉強するのが好きだった田口さん。新卒採用で就職した百貨店でも、地下食料品売り場の英語担当者として外国人客の接客をした。オリックスに転職し、国内営業をしていた6年間は、会社が受験を義務化していることもあってTOEICの勉強に専念。現在の部署に配属されてからは、英会話学校にも通うようになった。
今年3月にはTOEICで830点を獲得した田口さんだが、英語に対する情熱は冷めない。現在、朝7時半には出社し、パソコンで英フィナンシャル・タイムズ紙を読むのが日課だ。ほかの英字紙より難しいが、語彙力がつく。「1面だけは、毎日読んでいるうちに何となく内容がわかるようになってきた。全部をさらっと読めるようになりたい」と、新たな目標を設けている。
(週刊東洋経済2013年11月16日号)