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- Date:2024年11月22日
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年間成績上位8人だけが出場できるATPツアー・ファイナルに初出場した錦織は、ジョコビッチに準決勝で敗れたが、1次リーグで2勝を挙げる活躍で最終戦でも存在感を示した。今季の躍進ぶりを海外メディアはどう捉えているのか。テニス取材歴約30年、03年からは英高級紙のサンデー・タイムズで健筆を振るうバリー・フラットマン記者が本紙にコラムを寄せた。
【写真】男子テニスのATPツアー・ファイナルを前に、マリーらと写真に納まる錦織
今夏の全米オープンまで、錦織圭は「若手有望株の一人」にすぎなかった。ポテンシャルこそあるが、その才能を開花させられるかは未知数。英メディアも、私もそう感じていた。
ところが、準決勝で世界1位のジョコビッチを破ると、その名は英国全土に知れ渡るようになる。ウィンブルドン覇者のセルビア人を6―4、1―6、7―6、6―3で下した、勇ましい戦いぶりに、誰もが「新時代の到来」を予感していたのだ。
それまで錦織には無視できない弱点があった。強打を得意とする選手との対戦時にもろさを露呈し、ズルズルと敗戦へ追い込まれた。しかし、攻撃的なプレースタイルと粘り強いストロークに磨きをかけ、どんな相手にも屈しない力強いオールラウンダーへと進化した。
また、今年からコーチを務めるマイケル・チャン氏の存在も見逃せない。フェデラーを「憧れの選手」と語った錦織に対し、不屈の精神力を持つチャン・コーチは「英雄とあがめる選手には勝てない」とハッパをかけた。同コーチの存在で精神面も飛躍的にたくましくなっているように映る。
世界トップ8だけが参加できる今大会に参戦したことで、英メディアも「世界最高峰の一人」として錦織の姿を追うようになった。実際、プレーにも風格が備わってきた。ラオニッチや、チリッチのような強烈なサーブや強打はないが、その分、俊敏性と確かな技術、縦横無尽に駆け回るコートカバリングで補っている。両手で繰り出すバックハンドショットは、錦織の「代名詞」として、英国でも認識されるようになってきた。
彼の性格にも、私は一目置いている。識者の中には「ケイはシャイだ」と控えめな性格をマイナスに捉えている者もいるが、むしろ「冷静さがある」と評価している。向こう見ずな言動は控え、一戦一戦に集中する。頂点を目指すには不可欠な要素だ。
錦織の台頭で、ジョコビッチ、ナダル、フェデラー、アンディ・マリーの“ビッグ4”にヒビが入り始めているのは間違いない。おそらく、彼らも危機感を覚えているはずだ。20代前半のラオニッチ、ディミトロフ、そして錦織の3人が、これからのテニス界を引っ張っていくと私は考えている。