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- Date:2024年11月22日
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◇ラグビーW杯イングランド大会1次リーグB組 日本28―18米国(2015年10月11日 英国グロスター)
押し殺していた感情を、抑えることはできなかった。FB五郎丸は試合直後の公式インタビューに立つと「このマン・オブ・ザ・マッチはチームの…」と口にしたところで、それ以上の言葉を発せなくなった。
頬を伝わる涙。目の前の試合だけに集中してきた副将に残ったものは、目標の準々決勝に進出できなかった悔しさだった。
29歳で迎えた初のW杯だった。前回大会前も合宿には参加していたが、メンバー入りを逃した。ただ、ジョン・カーワン前HCとのやりとりで、忘れられない一幕がある。
ある日のミーティング。ホワイトボードに「過去、今、未来」と書かれていた。「過去は変えられるか」と問われた五郎丸は「変えられません」と答えた。続いて「未来は変えられるか」と聞かれ、今度は「変えられます」と答えた。
そこでカーワン前HCが言った。「違う。お前が変えないといけないのは、今だ。今を変えなければ、未来は変わらない」
五郎丸が「衝撃を受けた。今でも大切にしている言葉」は、今大会でも自分自身を支えた。常に目の前の試合に勝つことに集中し、ボーナス点を稼がなければ準々決勝進出が厳しい状況でも、時に言葉を荒らげて「先を見ていない」と言い続けた。「準々決勝、行きたかったですね。目標を達成できなかった悔しさが大きかった」と、全てを終えて本音を漏らした。
エディージャパンの通算57試合中(非テストマッチ9試合を含む)、プロップ畠山と並ぶ最多の52試合に出場。うち先発51試合は断トツだった。
今大会は1次リーグでランキング1位の13PG、同2位の58得点をマークし、日本代表歴代トップを走るテストマッチ通算得点は711まで伸びた。南アフリカ戦のトライ、スコットランド戦のトライセービングタックル…。
その珍しい姓以上のインパクトを残し、これからも日本ラグビーを引っ張る。