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浪漫万丈

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●中島みゆき【特別インタビュー】



コンサートツアーで、したくてもできなかったことは…



シンガー・ソングライターの中島みゆき(63)が新たな形のライブに挑んでいる。「一会(いちえ)」と名付けられたライブコンサートは、東京と大阪の2都市(4会場)のみの公演。同じ会場で数日間にわたってライブを行うことで、これまでできなかったことに挑戦している。そんなみゆきに話を聞いた。(兼松康)

「コンサートツアーって毎日毎日ホールが変わると、それは毎日“持って歩く”には不可能だっていう宿題があって。一定のところに数日間だったらできるんだな、っていう宿題、例えばSE(音響効果)なんですよね」。独特の言い回しで語る。


みゆきのライブといえば、恒例の全国ツアーに加え、音楽劇の「夜会」が知られている。夜会を除けば、ツアーでは「毎日ホールが変わる」のが常だ。

そこで「一会」では、前日のゲネプロ(本番通りのリハーサル)を踏まえた11月12日、東京・府中の森芸術劇場で開幕。東京国際フォーラムでの3公演を終え、12月14日からは大阪・オリックス劇場で3公演が行われる。


「天井にも仕掛けて音の場をつくるという作業は、(ツアーでは)不可能だったんですよね。こういうある一定期間だったらやれるってことを、ちょっとやりたいなあって」

こうした思いは、1会場で何日にもわたって行われる夜会で培われたものなのだろう。みゆきは「悪い癖(くせ)ついちゃいましたね」と笑う。


11月の東京国際フォーラムのライブでは、リリースされたばかりの通算41枚目のオリジナルアルバム「組曲(Suite=スウィート)」からの楽曲だけでなく、旧譜も織り交ぜて披露した。第1部「Sweet」、第2部「Bitter」、第3部「Sincerely Yours」の3部構成。第2部では、恒例の観客からのお便りを読むコーナーもあり、ニッポン放送のラジオ深夜番組「オールナイトニッポン」のテーマ曲「ビタースウィート・サンバ」をBGMにコーナーを盛り上げ、訪れたファンを楽しませた。


みゆきは「一会」の全体を通して、「何を伝えたいのか、どこに“大サビ”(コンサートの山場)を置くのか」を考えながら曲目と順番を決めたという。大サビは第2部の「阿檀の木の下で」と「命の別名」。それを盛り上げる形で「組曲」から「ライカM4」などの新曲や、昨年のNHK紅白歌合戦での歌唱も記憶に新しい「麦の唄」(朝ドラ「マッサン」の主題歌)も入れた。

また、「夜会」を除き、ツアーでは29年ぶりに歌っている「友情」は、「歌詞の中で(一会の)全体を貫くものが2番以降だと思ったんで、1番を飛ばして2番から歌ってます」。


最新アルバム「組曲」について、みゆきは「割とリアリズムかもしれない」と表現する。

「『ライカ…』なんか音を録っちゃって、ミックスの途中ぐらいに、はたと気付いたのが、『ライカ社(カメラなどのメーカー)に問い合わせなきゃ、これ』って。ダメっていわれたらこの曲、没なんじゃないの、と。『LADY JANE』も店の名前ですから。どちらとも『結構です』と許諾をいただいたんで。いやいや、リアリズムって難しいですね、意外なところで。はい~」

発売直後のこのアルバムから「一会」での演奏は3曲にとどめた。「アルバム紹介コンサートにしないっていうことでポイントを合わせてたので。それよりも何を(一会で)言いたいのかっていうことが一番だった」と繰り返す。


再び「麦の唄」の話に…。紅白の時の衣装をほうふつとさせる姿で歌っている。

「衣装が紅白に似てますでしょ。あれで(舞台に)出たときにすごく、お客さんが腑(ふ)に落ちたっていう感じが伝わりますね。『あ、これよね』みたいな。全然違う衣装着てたら疑問符のままお帰りになったんでしょうねえ、きっと」


その紅白、今年は出場しない。「人さまの苦労しているのを、のほほ~んと見ます」と、いたずらっぽくほほ笑む。「楽しみですね。一視聴者アンド一同業者として、見て楽しいのは時間の帳尻合わせです。これ、どうすんだろうって見てるのが。生放送ならではのヒヤヒヤとハラハラとお見事~っていう、楽しみ方ですね。『ガンバレ、有働(由美子アナウンサー)!』みたいな」


年末は「家の中を片付けたい」と話すが、「一会」は年明けも大阪・フェスティバルホール(1月7、8日)と東京国際フォーラム(同26日~2月11日)で計8公演を行う。

「気持ちは片付かないと思うんですけど、なるべくだったら、(家を)片付けたい。リハーサルからここに至るまでの間に、うちの中がほとんど雪崩が起きたような状態になってますんで、片付けたい…。大掃除したいけど終わんないかも」

当面は、「一会」に全力投球となりそうだ。




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