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- Date:2024年11月22日
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マツダの小型車「デミオ」の受注が好調だ。9月9日の予約開始から半月足らずで販売目標の月5000台を上回る7000台以上の注文が舞い込んだという。好調な受注は新開発の環境と燃費性能に優れた1500ccの小排気量ディーゼルエンジンを搭載したモデルを設定したことが大きく、全受注の7割近くに達しているもようだ。ガソリンに比べて安価な軽油が使え、しかも燃費は1リットル当たり30キロメートル。国内で200万円を切る唯一のディーゼル車に、マツダはハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)、軽自動車に続く「第4のエコカー」の期待をかける。マツダはこれまで小型化、低価格が難しかったディーゼル車にどう立ち向かったのか。
【フォト】小型車の既成概念を壊した「新型デミオ」
■期待される「第4のエコカー」
通常のディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べて大きいうえ、大気汚染の原因になる排ガス中の窒素酸化物(NOx)を処理する高価な装置を装着する必要があった。このため小型車への搭載が難しく、価格も高額になりやすい問題があった。
マツダの開発した小型のディーゼルエンジンは、この処理装置部分をなくしたのがポイントだ。
ガソリンエンジンに比べて圧縮比の高いディーゼルエンジンは、空気と燃料が混ざり合う前に局所的に不均一な燃焼が始まってしまうため、NOxが生成されたり、酸素不足の燃焼によってPM(スス)といった有害物質が発生してしまった。
圧縮比とは、エンジンのシリンダー内で、混合気がどれだけ圧縮されるかを示す割合。一般的なディーゼルエンジンの圧縮比は16~18程度とされる。マツダは独自技術「スカイアクティブ」で14という低圧縮比のディーゼルエンジンをすでに開発済み。今回のデミオも14.8と小型車で最も低い数値となった。
低圧縮化によって燃焼室内の温度が下がるので、空気と燃料がきれいに混ざり合う時間を確保できて、均一な燃焼により有害物質の発生量を少なくすることに成功した。
とはいえ圧縮比を低くすると、環境によっては着火しないケースもあり、なかなか実用化されなかった。マツダは、使用環境に応じて適切に燃料を噴射することで低温時でも確実に着火し、エンジンがかかるようにした。今回のデミオも「1回の燃焼の間に最大8回の燃料噴射が可能」(開発責任者の土井歩主査)という。
■なくなった高価な排ガス浄化装置
これにより、高価な排ガス浄化装置がなくとも、世界でも厳しい排ガス規制のポスト新長期(国内)、EURO6(欧州)に対応。ガソリン車との価格差が大きく縮小し、価格の安い小型車への搭載が可能になったという。
ディーゼルエンジンを小型車に載せるという難問解決は、これだけにとどまらない。通常、エンジンは小さくなるほど壁面からの冷却が早まる。「大きい湯飲みと小さい湯飲みでは、小さい方がすぐに冷えてしまうのと同じ仕組み」(広報部)で、「冷却損失」の増大という問題が常にのしかかっていた。
この難題を、ピストン上面が段形状をしたエッグシェイプと呼ばれる燃焼室を採用することで克服した。ピストンが下がる際に発生する冷たい空気の流入と温かい空気の流出を抑制したのだ。また、従来は噴射する燃料が燃焼室の壁に当たり、その壁面付近で燃焼するため熱が逃げやすくなっていた。これも、燃料を噴射する距離を短くすることで、燃焼室の中心で燃料が燃えるよう工夫。この結果、燃焼室の外壁から熱が漏れる冷却損失を低減することに成功した。
日本ではこれまで、ディーゼル車は二酸化炭素の排出量がガソリン車に比べ少ないものの、黒煙をまき散らすイメージが強いため、敬遠されてきた。メーカーも開発に消極的だった過去がある。
日本では、HV、EV、軽自動車が「エコカー御三家」だ。マツダのクリーンディーゼル車が普及価格帯の小型車にも入ってきたことで、ディーゼルが第4のエコカーとして食い込むことができるか、「デミオ」の挑戦が注目されている。(飯田耕司)