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- Date:2024年11月22日
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[気になる映画人インタビュー]ハリウッド俳優の多くは、製作規模の大小にかかわらず様々な作品に積極的に出演する。それによって自らの新たな一面を開拓し、多くの観客を魅了していく。そんな動きを日本のテレビ業界や映画業界で実践する人がいる。
北野武監督に直談判して映画『ソナチネ』で俳優デビューを飾り、以降は映画『模倣犯』『鮫肌男と桃尻女』『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』『デッド寿司』などボーダレスに出演作を増やし続ける俳優・津田寛治だ。映画のほかテレビでは朝ドラ、昼ドラ、刑事ものと、その出演リストは実に多彩である。
名脇役として映画館やお茶の間にその顔を浸透させる一方、映画監督としての肩書きも持っている。7月12日から埼玉県川口市で開催される「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」の短編コンペティション部門にて、地元・福井県を舞台に監督した短編映画『カタラズのまちで』が上映される。
俳優でありながら監督業もこなす。そんなハリウッドスタイルを貫く津田本人を直撃し、枠にとらわれない変則的な動きの原動力と、脇役という奥深きポジションについて聞いた。
「元々は映画監督をやりたかった。その足がかりとして俳優をやろうと思ったんですよね」と意外な出発点を明かす津田。『カタラズのまちで』は、ホームレスの老人と少年の交流を描いたシンプルな物語だが「吹き溜まりの風の視点を意識した」というヌーヴェルヴァーグ映画風カメラワークに始まり、人物にあえて光を当てずにコントラストを強調させた照明設計など、その作風はシネフィルならではの非凡さに溢れている。
キャストのほとんどが素人だが、あえてセリフなしの無声映画に仕上げた。「制作前はスタッフから『演技力が必要なのでは?』と不安の声もありましたが、それこそ逆。普通に生活している方のオーラには、俳優が勝てない瞬間がある。素人の方にセリフを渡すと“覚えた言葉”になってしまうから、あえて持ち前の素を引き出したかった」と俳優ならではの視点を演出に持ち込んだ。
作品の完成度の高さをベタ褒めすると「監督する上では映画をどれだけ観ているかが重要ですよね。本数をそれなりに観ていれば、それなりのモノは撮れるはず」と頭をかくが、数多くの現場を俳優として渡り歩いてきた経験も、監督としての血肉になっているはずだ。
しかも津田は“映画好き”と同時に、相当の“映画現場好き”でもある。「現場には誰も予測しえなかったエネルギーを生む源のようなものが必ずあるんです。でもそれは俳優として内側にいるだけだとわからない。
だから僕の場合は、休憩中に現場全体を眺めるようにしています。そうすると“その何か”が見えてくる。僕は昔からそれを発見するのが大好きで」と声を弾ませる。
好きな映画のシーン状況にも独自のこだわりがあり「遠くにいる人物に対してピンボケしながらも、やっとピントを合わせた瞬間に感じるカメラマンの息づかいって最高。技術面で厳しい状況に直面している緊張感が何ともいえない」と職人たちの格闘に目を輝かせる。