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浪漫万丈

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●松本人志も絶賛する驚異の「素性」笑福亭鶴瓶


「国民的アイドル」が、実は自分の意思も簡単に通すことができない「がんじがらめの存在」であることを知らしめてしまった、SMAPの解散騒動。しかし、その一方で、フットワークが軽く自由に動き回る「国民のアイドル」が存在する。落語家の笑福亭鶴瓶である。

鶴瓶は、上方落語協会の副会長を務める大御所芸人でありながら、テレビで多くの冠番組を持ち、安定感のある司会ぶりには定評がある。さらに、俳優としての顔も持っており、ドラマや映画にも多数出演している。そんな鶴瓶に対して「国民的アイドル」というイメージを持つ人は少ないかもしれないが、実は年齢・性別を超えて誰からも愛される要素が満載なのである。

鶴瓶は、決して大物ぶらずに裏表がないことで知られており、その交友関係の広さは驚くほどだ。いわゆる大物でありながら、後輩芸人だけでなく、若手の俳優やミュージシャン、アスリートと年齢やジャンルを超えて交友関係を築き、舞台やコンサートなどにも足しげく通うという。プライベートでもフットワークは軽く、お見舞いやお祝いなどが丁寧で素早いため、感激して心酔する若手芸能人が多いようだ。

このコミュニケーション能力(コミュ力)は、一般人に対しても発揮される。街中で鶴瓶を見かけた人が「鶴瓶さん!」と声をかけると、ニコニコしながら「お~!」と、まるで長年の友人に会ったような返事があるという。

また、「私、以前に○○で会いました」と言うと「覚えとるで~!」と返してくれる、という有名な逸話もある。ツイッターで「鶴瓶さんに会った」と検索すれば、一般人の感激のツイートが、一緒に撮った写真と共に多数出てくる。握手や写真はもちろん、サインした回数も数限りないようで、本人も「日本一サインしている」「2000円札より、俺のサインのほうが多い」と発言している。

また、失礼なファンが電話をかけてきても、鶴瓶は「それもよし」という姿勢のようだ。その生き方には、同じ芸人の松本人志(ダウンタウン)も「あの人は不思議な人や」「生まれ変わったら鶴瓶師匠になりたい」と舌を巻く。

全国に老若男女の鶴瓶ファンがいるのは、バラエティ番組『鶴瓶の家族に乾杯』(NHK)の存在が最大の理由だろう。これは、鶴瓶とゲストが日本中を巡る旅番組であり、AKB48が「会いに行けるアイドル」なら、鶴瓶は自ら「会いに来るアイドル」なのだ。

一見、人畜無害な鶴瓶はNHK的な「優等生タレント」にも思えるが、過去には生放送で「全裸事件」を起こしてテレビ局を出入り禁止になった過激な面も持つ。ほかの芸能人であれば仕事が激減したり、そのままフェードアウトしたりしてもおかしくないところだ。ましてや、NHKから声がかからなくなることは確実に思える。しかし、鶴瓶の場合は以前と変わらぬスタンスを保ちながら、仕事がなくならないどころか、依然として誰からも愛されている。鶴瓶は、いわば天才的な“コミュ力”の持ち主なのだ。

●斬新な企画もこなす鶴瓶

また、鶴瓶は制作サイドの心も掌握しているといえる。例えば、鶴瓶がMCを務めるテレビ番組は、実験的な演出や斬新な企画が多いのだ。脚本なしでゲストとアドリブで芝居をする『鶴瓶のスジナシ』(TBS系)や、ゲストの家族や友人に内緒で取材、写真(テレビならVTRでいいはずだが、意図的に写真で紹介)でサプライズを仕掛ける『A-Studio』(同)などがそれだ。制作サイドが「この人なら、変わった企画でも安心して任せられる技量がある」と信頼している様子が、画面を通じて伝わってくるようだ。

鶴瓶は、いわゆる好感度ランキング上位は目指さない。司会を務める『チマタの噺』(テレビ東京系)では、「俺は好感度よりも、実際に会った人に『感じええ』と思われる人生を歩みたいと思う。会った人は絶対に逃さないと。ものすごい笑顔で『どうも』って。サインもするし、写真も撮るしな」と語っている。「会いに来るアイドル」のコミュ力の高さは、「国民的アイドル」のそれを、いとも簡単に凌駕するのだ。
(文=アーク・コミュニケーションズ)






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