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- Date:2024年11月22日
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大地を揺るがすようなビヨンセのものまねでブレイクした渡辺直美さん(28)。芸人、タレント、モデル、女優…と幅広い活動を見せていますが、7日からは主演映画「五つ星ツーリストTHE MOVIE~究極の京都旅、ご案内します!!~」も公開されます。今や、老若男女から幅広く支持される人気者になりましたが、スーパーグラマラスボディーの軸にあるのは「オリエンタルラジオ」中田敦彦さんの言葉だと言います。
恩人、私の場合、ホントにたくさんいるんです。ホントに、ホントに、ホントに、皆さんに支えてもらってますから。
ただ、その中でも、いただいた言葉が特に胸に刻み込まれているのが「オリエンタルラジオ」の中田さんなんです。
私は、中学を卒業して、ファミリーレストランでのアルバイト生活を経てNSCに入ったんですけど、ホントにありがたい話、早い段階からいろいろな番組にも出してもらえるようになりました。ただ、22歳、23歳の頃、壁にぶつかったんです。
お仕事をさせてもらうのは、ホントに、ありがたいこと。ただ、できることが少ないうちからお仕事をさせてもらうようになったので、他の先輩芸人さんと同じようなことを求められるものの、それができない。また、周りの先輩方が何でもできるスゴイ人が多かったので、余計にできない自分がつらくなると言いますか…。
いろいろできないことがあったんですけど、中でも、特に苦手だったのが大喜利。ただ、芸人だったらできて当たり前みたいなところがあって、より追い込まれました。だから、あんまりこういうことをバラしちゃうのもよくないのかもしれませんけど(笑)、一生懸命練習したりもしたんですけど、それでもできない。頑張ってもできない。それでまたよりしんどくなる。そんな悪循環に陥っていたんです。
そんな時、たまたま中田さんと同じ仕事になったんです。地方に行く営業だったんですけど、移動のバスの中で、ふと素直に聞いちゃったんです。「私は大喜利もできないし、苦手なことがたくさんあるし、どうやったら、できるようになるんですかね」と。
そしたら、中田さんが言ってくれたんです。
「お前には長所がいっぱいあるだろ。短所は捨てる。短所は見ない。短所を伸ばすよりも、誰もマネができないところまで長所を伸ばす。短所を伸ばしても、やっと普通のレベルになるだけ。同じ努力をするならば、長所を伸ばした方が絶対にいい」
と。決して、長々とおっしゃったわけではないんですけど、心にすごく染みました。
その言葉をもらって、考えたんです。じゃ、自分の長所って何なんだろうと。そこを見つめ直すと、ビヨンセもやってきて、コントでいろいろなキャラクターもやらせてもらって“表現力”ということなのかなと。じゃ、その表現力を伸ばしたい。さらに、表現力を伸ばすにはどうしたらいいんだろうと思って向かったのがニューヨークだったんです。それが、昨年5月から3ヵ月間行った短期留学でした。
もともと、私が中田さんを知ったのは、17歳の時。ファミレスのバイト時代でした。バイト仲間で、とてもクラい女の子がいたんです。ほっといたら、一言もしゃべんないような。でも、私はその子が好きでグイグイいってたんです。ある時「何をしてる時が楽しい?」と聞いたら「お笑いを見てる時が楽しいです」と。で、誰が好きかを聞いたら「…オリエンタルラジオ」って言ったんです。
当時は、まだ「オリラジ」さんもデビューしたての頃で、私も知らなかったんですけど、その子が「1回見てみてください、本当におもしろいですから」と言って、ニコッと笑ったんです。その子がそんな顔で笑うなんてことは今までなかったので、すごく衝撃を受けまして。その瞬間「この子をこんな顔にさせる『オリラジ』って、スゲエ!!」となったんです(笑)。その時には、もう芸人になると決めてはいたので、「そうか、その『オリラジ』という人たちが、自分の先輩になるんだ」と思ったことを覚えています。
そこから、実際にNSCに入ったんですけど、入ったら入ったで、また授業で何回も「オリラジ」という名前を聞くんです。先生方が「いいか、お前らは『オリラジ』になれると思うな。『オリラジ』は天才だ」と。だから、入る前からも、入ってからも、自分の中では、“神”みたいな存在になってまして(笑)。ただ、実際にお会いするようになると、すごく自然に仲良くなっていったんです。
ただ、ずっと一緒にいるということではないんです。ポイント、ポイントで言葉をいただくというか。
それでいったら、一番長く時を過ごしてきているのは「平成ノブシコブシ」の吉村崇さんですしね。たくさん話もしますし、実際、いいことを言ってもらったりもしています。
吉村さんにも、いろいろ相談するんですけど、ある日、吉村さんが言ってくれたんです。
「…お前の気持ちは、分かった。でも、絶対に辞めるなよ。お前が辞めたらオレの夢もなくなるから。お前とやりたいことがこの先たくさんある。だから、辞めるな。オレがお前を世界一の女芸人にしてやる。だから、オレと一緒の仕事の時は、何か困ったことがあったら、オレに目配せをしろ。絶対に助けてやるから」と。メチャクチャ、カッコいいじゃないですか。
そして、言ってもらった翌日が明石家さんまさんとの番組だったんです。吉村さんも一緒に。そこで、私がさんまさんから話をふられて「うわ、どうしよう…」と思って吉村さんの方を見たら、吉村さん、どの角度から見ても目が合わないくらい、テンパって目がグルグル回っていたんです…。あの時ほど、人のことをカッコ悪いと思ったことはありません(笑)。だからね、やっぱり中田さんなんです。
中田さんの好きなところですか。とにかく、アタマがいいんです。久々にしゃべっても、こちらが1話せば、50返してくれる。話が1、2、3、4…と進んでいくんじゃなく、1、50、100、150という風に進んでいく。そのうえで、こちらにすごく的確なアドバイスもしてくださる。それがスゲエなと。
自分に置き換えて考えたら、私にはできないですもん。もちろん、みんな自分自身のことで精いっぱいで、これは、言い方によったらイヤなヤツに思われるかもしれませんけど、ホントに、正直な話、後輩には「キミらキミらで頑張ってくれ。私は私で必死にもがいてるから」という感じなんです。なのに、中田さんはきちんとこちらに向き合って、的確な言葉をくれるんです。
恩返しですか。私が言うのはホントにおこがましいですけど、中田さんって強がりな部分があって、私たち後輩にはもちろん、先輩にも本心を見せない部分があって、きっと考え込んでしまうところがあると思うんです。真面目な方だからこそ。なので、いつの日か「直美、実は、この前、こんなことがあってさ…」って相談されるような、相談に乗れるような人になることですかね。ただ、それをやるには、こちらのステージをもっともっと上げないとダメ。お互い、50歳,60歳になって、そんなことができてたらいいなと。
えっ、吉村さんとの将来のビジョンですか?
この前も、いきなり楽屋に駆け込んできて「ボールペンを貸してくれ!!」と。私が「スミマセン、今、持ってなくて」と言ったら、「芸人だったら、ボールペンくらい持っておけよ!!」と怒って出ていったんですけど、よく考えたら、そもそもアンタが持ってないじゃないかと。ま、そんなこんなで、吉村さんとは距離を置いていきたいと心に決めています(笑)。
■渡辺直美(わたなべ・なおみ)
1987年10月23日生まれ。茨城県出身。中学卒業後、アルバイト生活を経て、2006年に東京NSCに12期生として入学。当初はコンビを組んでいたものの、解散後はピン芸人として活動する。ビヨンセのものまねでブレイクし、08年3月からフジテレビ「笑っていいとも!」に「いいとも少女隊」として出演する。2014年5月から、表現力を身につけるため、3ヵ月間のニューヨーク留学へ。独特の存在感から女優としても活動し、日本テレビ系ドラマ「五つ星ツーリスト~最高の旅、ご案内します!!~」などにも主演。また、同作の映画版「五つ星ツーリストTHE MOVIE~究極の京都旅、ご案内します!!~」が11月7日から公開される。
■中西正男(なかにし・まさお)
1974年大阪府枚方市生まれ。立命館大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。大阪報道部で芸能担当記者となり、演芸、宝塚歌劇団などを取材。2012年9月に同社を退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属し、芸能ジャーナリストに転身。現在、関西の人気番組「おはよう朝日です」に出演中。