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浪漫万丈

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●神田沙也加 居場所探し、もがいた20代




『アナ雪』ヒットで完璧主義やめた


宇宙戦艦ヤマト』シリーズ最新作『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』でテレサ役を務める女優の神田沙也加。女優としてデビューするも、いったん休業。その後、主戦場を舞台に移すと、ミュージカルで鍛え上げた歌唱力と表現力の高さは演劇業界内でも評判になり、活躍の場は広がっていった。常に現状に満足せず、勝負している印象があった神田だが、30歳を迎え「すごく気持ちが楽になった」と心情を吐露。その胸のうちに迫った。

芸能活動の転機は2つ

本作出演に際して「小さいころから声優になることが夢だったんです」と目を輝かせた神田。ミュージカルに声の仕事など、近年、幅広い活躍が目立つが、自身の芸能活動を振り返り「分かりやすい大きな転機は二つありましたね。一つめは17歳のときに『Into The Woods』(宮本亜門演出)に出演したことと、2014年の『アナと雪の女王』ですね」と語る。

『Into The Woods』はオーディションで勝ち取った役だ。5年前のインタビューで神田は「ミュージカルの世界はとにかく実力勝負。しっかりオーディションをして力がなければ落とされるんです」と語っていたように、純粋な芝居の力が試される場所で、自身の活路を見出した。当時の神田に「何かと戦っている印象があった」とぶつけてみると「そうかもしれませんね。あのときは、見せないようにはしていましたが、自分の居場所を見つけて根を張らなければという必死さを持っていたと思います」と胸のうちを明かす。

完璧主義を変えた『アナと雪の女王』

しかし、いまの神田からは、いい意味でとても柔和な印象を受ける。

「最近の話ですが、30歳になって楽になったんです。人から『30歳になったら楽になるよ』って言われていたのですが、半信半疑だったんです。でも実際になってみると本当に楽になったんですよ」と笑顔をみせる。その理由を「どれも完璧じゃなくてもいいやって思えるようになったんです」と語る。

そのきっかけは『アナと雪の女王』の日本語吹替え版への参加だったという。「私は完璧主義で、舞台とかが始まると持ち点100という風に考えて、上手くいかないと減点していって、最後何点になったかという感じに、毎日クオリティの高い一日を過ごさなくてはとシビアに自分に課していたんです」。

そんななか、『アナと雪の女王』の大ヒットにより、神田のこうした考えに変化が生じた。「あの作品でメディアにたくさん出させていただいて、すごくいい経験だったのですが、すごく忙しくて、くたくたに疲れてしまった時期があったんです。とてもじゃないけれどそんな完璧主義じゃ回らなくなってしまって、100点という持ち点の天井を下げたんです。そうしたら少しずつ気持ちも楽になっていったんです」。


歌番組出演していいのかと悩む日々

さらにもう一つ、神田には悩みがあったという。

「参加させていただき、受け入れてもらえたことに感謝しかありませんが、歌もある作品だったので、私自身も歌番組出演させていただくことが多かったんです。特にエンドソングを歌ったMay J.ちゃんと共演させていただくことも多かったんですね。彼女は自身の名義の曲なので、歌番組で歌うことは正しいことなのですが、あの作品はミュージカルで、私は劇中で歌う役。歌番組でハンドマイクを使って歌っていいものだろうかと悩みましたね」と心情を吐露した。

期待、不安、喜び……色々なことをもたらしてくれた『アナと雪の女王』。

「声優のお仕事もそうですが『やりたいな』や『会いたいな』ということが、あの作品以降の1、2年で一気に叶っていき、本当に大きな波に乗せていただいたという感謝の一方、この波にどこまで流されてしまうんだろうという恐怖もあったんです」と当時を振り返る。

しかし、先ほどの言葉にあった「居場所を見つけて根を張る」という意味では、神田自身ブレることなく、ミュージカルを含め、ライフワークと言える舞台という主戦場にしっかりと根を下ろしつつ、声の仕事など、活躍の場を広げ、しかもその実力は高く評価されている。

そして本作では「別格でやりたいと思っていたこと」という声優、しかも『宇宙戦艦ヤマト』という人気シリーズで、思い憧れていた実力派声優たちと共にアフレコに挑んだ。「夢が一つ叶った日」と感激する一方、「作品ファンを裏切らないように務めたい」と語る神田の表情は、充実感で満ち溢れていた。

(取材・文・写真:磯部正和)
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■神田沙也加(かんだ・さやか)
1986年10月1日生まれ。東京都出身。声優は「子どものころから最もなりたかった夢」という思いのなか、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』では女神・テレサ役という重要な役で出演。アフレコ現場では「神々しく」という演出を受けたつつ「見目麗しい少女」というコンセプトのもと、神田らしい表現でテレサに命を吹き込んでいる。








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