●長澤まさみの仕事論「自分にどれだけプレッシャーをかけられるかが勝負」 Category:素晴らしい! Date:2017年05月06日 12歳で芸能界デビューし、その後は数々の話題作に出演するなど着実に女優としてのキャリアを築いてきた長澤まさみ。最新出演作となる5月6日公開の映画『追憶』では、岡田准一演じる主人公・四方篤の妻・美那子を繊細に演じている。「自分の限界を決めたくない」と語る長澤に、今作の撮影現場で感じたことや女優の仕事へのモチベーションについて話を聞いた。■長い時間をかけて関係性を育てていくのが「家族」『駅STATION』や『鉄道員(ぽっぽや)』など日本映画を代表する作品を世に送り出してきた監督の降旗康男とキャメラマンの木村大作。最新作『追憶』では、主演に岡田准一を迎え、共演に小栗旬など豪華俳優陣が集結。かつて親友だった男達が刑事・容疑者・被害者として再会する。その3人は25年前に起きた出来事である共通の秘密を抱えていた。愛する妻にすら話せない秘密を持つ刑事の四方篤(岡田准一)の苦悩を体現するキーパーソンとして、長澤まさみが妻の美那子を演じる。役を通して感じた“夫婦の関係性”について語ってくれた。「篤と美那子の夫婦関係は終りつつありますけど、それでも美那子は篤に対して好きだという感情を持ち続けていたのではないかと思いました。“好き”という感情をどうやって篤に伝えたらいいのか、その方法がわからずに息詰ってしまっている。そういう部分をしっかりと表現できるように意識して演じました。劇中で、なかなか思いを伝えてくれない夫の篤が、とあることで美那子を頼るというシーンがあるんです。きっと美那子はこの瞬間をずっと待っていたんじゃないかなと。篤と美那子のような不器用だけど人間らしい夫婦の関係性に憧れを抱いたり、懐かしい気持ちにもなりました」「長い時間をかけてお互いの関係性を育てていくのが夫婦であり家族だと思うので、ある日突然終わらせるなんてできません。夫婦は終わらせようと思えばできますけど、“家族”は簡単に終わらせることはできないはず。それぐらい“家族”というのは特別な関係なんだと今作を通して改めて感じました。どこか心の深い部分で繋がっているのが夫婦なのかなと。私だけじゃなく観客の方にも、篤と美那子の姿を通してそんな風に感じて頂けるのではないかなと思います」■どれだけ自分にプレッシャーをかけられるかが勝負キャメラマンの木村は多重キャメラを使って異なる角度から一気に撮影するという手法を好むため、長澤も “全神経を使って”挑んだ。ところが意外にも気負いのようなものは感じなかったそう。「自分で準備してきたものだけではなく、監督が求めるものに応えていくことは私にとって勝負でしたし、とても緊張感のある現場でした」と笑顔で語る長澤。勝負という言葉から、プレッシャーを楽しめるタイプなのか問いかけてみた。「自分の限界を決めたくないんです。芸能界で、旬が終わったら使いものにならない、という話もあるかもしれませんが、でもその人の人生が終わるわけじゃない。自分と付き合っていくのは自分だから、自分のことを諦める人間にはなりたくないです。乗り越えたいと思えるような作品にはどんなに大変な役柄でもチャレンジしていきたい。プレッシャーに押しつぶされそうになった時期を経験してきた今だからこそ、そう思えるのかもしれません」「どんなにプレッシャーを与えられて「大変な仕事だ」と言われても、お受けした以上はやるしかない。でも、出たとこ勝負の仕事はしたくないので、きちっと向き合いたい。今は完璧を求めすぎてもしょうがないと思えるようになってきました。自分を追い込んで完璧を求め過ぎるのではなく、丁寧にきちんとお仕事と向き合っていきたいです」ストイックだが、余白を残してやるべきことと向き合うのが長澤まさみ流の仕事術だ。■世の男女への激励メッセージ「無駄なプライドは捨てたらいい」「男性への激励メッセージとしては…『お互いに責めるのはやめよう』っていうことですね(笑)。女性が働くようになって、“男性の後ろに一歩下がって”っていう時代に比べると女性の発言が強くなってきています。でも、それは誰のせいでもない。男性とか女性とか関係なく、誰しもが自分の立場から見た正義がある。ですが、自分の意見が絶対に正しいというわけでもない」「私も『なんでこんなに我が出て来ちゃうんだろう…』って自意識に苦しむ瞬間はありますけど、それは社会に出れば自然と身に付いてしまうものだから仕方ないこと。それならば、無駄なプライドなんて捨てたらいいんじゃないかなって(笑)。自分をちゃんと客観的に見る心を持って、純粋に、自分がやらなければいけないことを追求できるといいですよね」最後に、人生を楽しむコツを語ってくれた。「人生は長いので、失敗してもいいから良いことも悪いことも全部受け止めて穏やかに生きていきたいです。仕事もプライベートも毎日の積み重ね。スキップ(飛び級)はできません。できた気になったり、自分の限界とかを信じすぎるのもよくないですよね。毎日の自分を楽しむことを大切にしています」 PR