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- Date:2024年11月22日
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36秒-。年間約12万本をを運行する東海道新幹線で1列車あたりの平均遅延時間(平成23年度)だ。単に速いだけでなく、安全性、快適さ、そして正確な運行と“総合力”は他の追随を許さない。昭和39年、時速200キロ超運転という世界初の高速鉄道を実現した新幹線は、約半世紀にわたる不断の努力の結果、いまなお進化を続けている。
東京駅16番線。「発車よし」。駅係員がホームの電波時計を3回確認、乗降客の安全を確かめ発車ブザーを鳴らす。扉が閉まる。8秒後、運転士は運転席の懐中時計を確認し、ノッチ(アクセル)を入れる。そして、東海道新幹線「のぞみ」は定時に発車した。
「のぞみ」開発による一層の高速化、乗客の死傷事故ゼロの記録を誇る東海道新幹線には、さらに世界に誇る「技術」がある。定時運行だ。
東海道新幹線の平均遅延時間の36秒は台風や大雪などの影響も含み、自然災害がなければ、ほとんど遅延はないレベル。「最新システムへの不断の設備投資と、社員の練度向上がすべて」。JR東海の関雅樹・新幹線鉄道事業本部長は、こう話す。
JR東海発足後、国鉄時代の約20年間にわたる設備投資額の約4倍を自然災害対策に投入、大雨などによる運行制限が大幅に減った。耐震補強、世界に例のない脱線防止装置の導入など安全、安定走行に最新設備を投入し続ける。
さらに“人の力”も見逃せない。運転士は、常に次の到着(通過)駅までの距離を考え、速度を計算しながら走る。新幹線の運行は秒単位で管理。駅への到着(発車)や通過時刻は15秒単位で組まれている。1分以上遅れると、全列車の運行を把握する「新幹線総合指令所」に警報が出され、運転士、指令所が一体で回復に全力をあげる。
秒単位の管理は、定時運行のためだけではない。扉を閉めた後、発車まで8秒待つのも、その間に駅員、車掌が安全を再確認するために必要だからだ。毎日深夜に行われる線路の保守作業など、関係者すべての地道な活動が定時運行と安全を支える。
2月には各区間での最高速度を自動的に保つ「N700A」を投入する。唯一のネックだった自然災害時の遅れ回復に効果をあげることは確実で、遅延時間はさらに縮まりそうだ。
JR東海、JR西日本、JR九州と台湾高速鉄路の4社は昨年10月、日本型新幹線を共同で海外展開に取り組むことで合意した。「世界で最も古く、そして最も新しい高速鉄道」(関氏)は、改めて世界の注目を集めている。(内山智彦)