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2013.5.23 09:54
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130523/biz13052309580022-n1.htm
日本企業はこれまで、世界を驚かせる製品、技術を数多く世に送り出してきた。そのなかには、世界初の高速鉄道「新幹線」、携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」などビジネスや生活を一変させたものも少なくない。
大手電機メーカーがアジア勢に押されるなど、日本企業の競争力はかつてに比べ低下しているが、いまなお世界をリードし、他の追随を許さない製品を生み出し続けている。
「夢の素材」航空機や高級車を軽量化
鉄よりも軽くて丈夫な素材として、航空機の機体などに使われる炭素繊維。この分野で世界をリードし、市場の7割を押さえているのが東レ、帝人、三菱レイヨンの国内化学メーカー3社だ。
航空機のほか一部の高級車にも採用が始まったが、さらに量販車への供給が視野に入る。自動車メーカーとの共同開発も始まっており、炭素繊維製の自動車が身近になる日も近い。(兼松康)
鉄の4分の1の重さしかないにもかかわらず、引っ張り強度は鉄の10倍。炭素繊維はその特性から、東レが昭和46年に商業化して以降、「夢の素材といわれ続けてきた」(東レ)。
課題だった用途開発も、ジュラルミンやアルミが使われていた航空機向けの供給などで急速に増えており、米ボーイング社の最新鋭旅客機「787」は機体の半分に炭素繊維複合材が用いられた。787はバッテリートラブルなどで一時、運航停止措置が採られたが、767に比べ燃費が約2割向上し航行距離が延びたことで、長距離路線の開設が可能になった。
炭素繊維は、アクリル繊維の主成分を空気中で200~300度の温度で燃焼させた後、酸素のない「不活性雰囲気」と呼ばれる状態の中で特殊な熱処理を施してつくられる。この不活性雰囲気こそが「各社のブラックボックス」(帝人)。炭素繊維の性質が、熱処理の温度や焼き方によって大きく変わるためだ。
変形しても元の形に戻る性質を強化した炭素繊維は、釣竿やテニスラケットなどのスポーツ用品向けに使われる。軽さに注目して天然ガスの圧力容器にも広く使われ、最近ではシェールガスの圧力容器としても注目を浴びている。
今後の用途として各社が狙っているのが量販車向けの部材や部品だ。
帝人は量販車への供給を想定し、自動車生産ラインに組み込んだ生産方法を米ゼネラル・モーターズ(GM)と共同開発した。
炭素繊維は樹脂で固めることで強固な板となるが、樹脂に浸した炭素繊維をさまざまな方向に重ね合わせる従来の方法では固まるまでに8~9分かかり、「1分に1個の供給」が最適とされる自動車の生産ラインには向かなかった。
このため、炭素繊維を固める樹脂を熱で変形する熱可塑性樹脂に変更。より加工しやすい樹脂を使うことで、生産ラインに組み入れることができるようになるという。
東レも独ダイムラーと炭素繊維を使った自動車部品の製造・販売合弁会社を設立。三菱レイヨンは独BMW向けの量産をすでに始めている。各社は、国内メーカーとも水面下で交渉に入っている。
海外の化学メーカーも虎視眈々(たんたん)と参入を狙うが、国内3社は「簡単には追いつかれない」と自信を見せる。いずれも30~40年もの製造経験を持ち、独自の製造ノウハウの蓄積があるからだ。量販車向けの供給で先行できれば、3社の優位はさらに盤石なものとなる。