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浪漫万丈

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グーグル流「遊びながら結果を出す」仕事術

 

茂木 健一郎:世界一の発想法

 

 

20131017日(Thu) 茂木 健一郎

カリフォルニア州マウンテンビューのグーグル本社に行ったときの印象を一言で表せば、「遊んでいるな」というものだった。

 

会社の敷地は、まさに大学のキャンパスのよう。目立つところに、巨大な恐竜の化石のレプリカ(ティラノサウルス!)があった。自転車やスケートボードが、いろいろな所に転がっている。セグウェイで行き交う人もいる。

 

清涼飲料水を売る自販機は無料。食堂(カフェテリア)も無料。ハッカーが何も気にしないで仕事に熱中するには、最高の環境が実現されていた。

 

「おもちゃ箱をひっくり返したような」空間。そのあちらこちらで、世界を変えるようなプロジェクトが進んでいる。脳科学の視点から見ても、グーグルのキャンパスの雰囲気は、興味深いものであった。

 

世間では誤解があるようで、「仕事」と「遊び」は別だと考える人が多い。特に、日本人はマジメ。「仕事」に「遊び」を持ち込むなんて、とんでもないという意見が目立つ。

 

しかし、脳科学的にいえば、もっとも創造的で、効率のいい仕事ができるのは、まるで遊んでいるかのように仕事に取り組むときである。遊んでいるときにこそ、人間の脳はその潜在的能力を最大に発揮することができるのだ。

 

「遊び」が大切なのは、特に、リスクに向き合うときである。イノベーションを起こすためには、できるかどうかわからないという不確実性に、「必ずできる」という根拠のない自信をもって向き合わなければならない。

 

遊びは、まさにリスクに向き合うときの最高のスタイル。子供のときのことを思い出してほしい。ゲームでも、スポーツでも、後先のことを考えず、これで失敗したらおしまいだなどと思わずに熱中したときが、1番楽しかったし、成長もしていたのではないか。

 

 

遊び心溢れる米グーグル本社。カラフルな自転車は敷地内を自由に乗れる共有物だ。(AFLO=写真)

仕事も同じ。このプロジェクトに社運がかかっている、と緊張してしまうのはある程度仕方がない。しかし、緊張したままでは、最高のパフォーマンスはできない。むしろ、集中しているけれどもリラックスもしている「フロー状態」のときに、脳は最大の能力を発揮し、創造的にもなる。

 

毎日の仕事を、まるで遊んでいるかのようにやる。これが、1つの理想である。グーグルという革新的な企業がもたらした働き方のイノベーションは、まさにそこにあると思う。脳科学的な観点からも、理に適っている。問題は、それが、なかなか実現しにくいということだろう。

 

「仕事」を「遊び」のようにやるということは、理想だが、実現するためにはいくつかハードルがある。例えば、「失敗」を許容する風土。遊びは、当然うまくいかないこともある。そのようなとき、減点主義だと萎縮してしまう。

 

そして、メンバーの高い知識、スキルと、目標意識。大人が会社の仕事としてやる「遊び」は、当然社会性をもつ。精神は子供の遊びと同じでも、技術は高度化する。自分たちは最高の成果を出すのだという、強い動機付けがなければ、よい「遊び」はできない。

 

結局、仕事を「遊び」としてやるためには、かなりの努力がいるということになる。

 

「遊び」は、手を抜くということではない。ラクをするということでもない。むしろ、自分のありったけの生命力を、仕事に注ぐということだ。

 

日本でいえば、高度経済成長時代の「モーレツ社員」こそが、1番遊んでいたのかもしれない。アベノミクスで経済好転の兆しが見える今、よい意味での「遊び」の精神を日本に取り戻したい。

 

 

 

 

 

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