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浪漫万丈

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<アリババ>NY上場、最大2.5兆円を調達


「朋あり遠方より来る、また楽しからずや」――孔子のこの有名な言葉はまさに、中国の電子商取引最大手、阿里巴巴集団(アリババグループ)のニューヨーク上場計画に対するウォール街の高揚感を表している。

ニューヨーク証券取引所関係者やアナリストが非公式に語ったところでは(上場に関する公式発言は遠方の友人に嫌われる)、アリババの新規株式公開(IPO)によって、米国はテクノロジー企業の上場先としての支配的な地位を固めるだろうという。

アリババのIPOは、調達額が150億ドル(約1兆5300億円)、評価額が1000億ドル前後(約10兆2000億円)に達し、銀行と法律事務所に数億ドルの手数料をもたらす見込みだ。この大型IPOを受けて、ほかの中国の大手企業も上場先として香港や上海ではなく米国を選ぶとの声がある。中国のインターネット大手、新浪(SINA)傘下のミニブログサイト「微博(ウェイボー)」が先ごろ米国でのIPO計画を発表したことも、こうした見方を後押しする。

ウォール街の興奮は理解できる。アリババは業績が堅調でビジネスモデルも確立した大企業だ。また銀行とテクノロジーという金融市場で最も過熱しやすい2業界が交わる分野で活動している。その大きさや経済成長率の高さから、アナリストとメディアが繰り返し褒めちぎっている国の企業でもある。

ウォール街とシリコンバレーに警戒せよといっても難しいかもしれないが、今こそ警戒が必要だ。アリババのニューヨーク上場が成功したとしても、同社は先駆者というよりは象徴的存在になるだろう。

アリババはいろいろな意味で、新しいタイプの中国企業を代表する最良の旗手だ。具体的には、公益や銀行といった「オールド・エコノミー」の業界ではなく、近代的でグローバルな業界で事業を展開している。政府ではなく、元英語教師の起業家である馬雲(ジャック・マー)氏が設立した。米アマゾン・ドット・コムや米グーグルなど海外同業のビジネスモデルをまねるだけでなく、改良している。

アリババの米国上場は中国企業の国際化の第4期に当たる。1990年代後半の第1期では、動きの鈍い国営通信大手が本国での準寡占状態を強みに香港とニューヨークの両市場に上場した。

2000年代初めの第2期では大手銀行が香港市場に上場した。国営のまま、「中国は富が増加し、猛スピードの成長を続ける」という夢を売っていた。筆者は当時、香港に住んでいたが、中国政府のワンツーパンチは驚くほどの成功を収めた。まず政府は上場によって各行のバランスシートをきれいにした。その後、将来、国内市場へのアクセスを認めるという曖昧な約束と引き換えに、国内銀行にノウハウを提供するよう外資系銀行を説得した。

外資系銀行は約束の履行を今も待っている状態だが、中国工商銀行(ICBC)や中国銀行などの大手行はIPOによって財務体質と経営が大幅に改善した。さらに、各行はニューヨーク市場には上場しなかった。香港市場が活況を呈していたためその必要がなかったほか、米国の規則に縛られたくなかったからだ。

第3期は最も問題が多かった。多くの小規模企業がニューヨーク市場に上場したが、後に不正会計が発覚して上場廃止が相次いだ。そして今、アリババや微博などの大企業が再び米国市場に勇敢に立ち向かっている。

数々の香港IPO案件を手掛けた元モルガン・スタンレーのバンカー、ダニー・パルマー氏は「両社はまともな人間が経営しているまともな会社だ」とし、「投資家にとっては、『彼らは米国のビジネスモデルをまねているだけではない』という事実が明らかになった」と語った。

だからといって中国企業が米国市場に押し寄せることにはならない。アリババと微博は例外だ。

第1に、専門的投資家やアナリストに加え、競合企業の大半がいる市場に両社が引き付けられるのは自然なことだ。第2に、米国の技術評価は極めて魅力的で、新規上場は費やしたお金以上のものを得られる。第3に、少なくともアリババのケースでは、香港証券取引所がコーポレートガバナンス(企業統治)の規制緩和を拒んだため、選択肢がニューヨークしかなかった。筆者が知る限り、アリババは香港上場に向けて極力努力したが、うまくいかなかった。

法律事務所スキャデン・アープス・スレート・メーガー・アンド・フロムの北京事務所のジョン・クリスチャンソン所長は「米国に行くべき説得力のある理由がない限り、中国企業は香港や中国本土を選ぶだろう」と話した。

つまり、よりすぐりの中国企業をめぐる香港、上海、ニューヨークの各証券取引所間の争いは、大規模で特異なIPOによって決まるわけではない。

株式市場が崩壊しなければ、アリババの上場は米国の投資家に歓迎されるだろう。だが、これは中国企業の「大躍進」ではなく「長征」の過程と見なすべきだ。


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